2007年3月2日配信 紀伊民報
田辺市芳養町の米沢花子さん(87)は桃の節句に52年間、1度も欠かさず「御殿飾り」のひな人形を飾っている。花子さんは「眺めていると、気持ちが和む」とかわいらしい人形に見入っている。
御殿飾りは50年ほど前までは一般的だったが、つくりが複雑で、組み立てや収納が不便なことから廃れた。いまではほとんど販売されていない。
ひな人形は、花子さんの親が、いまは結婚して和歌山市に住んでいる長女、邦子さん(52)に贈ったもの。邦子さんが家を出た後も、花子さんが床の間に飾り続けている。毎年3月の初めから約1カ月飾るという。
大きさ10〜12センチの小ぶりの人形は、顔がつるつるとして表情豊か。男びなと女びな、五人囃子(ばやし)などの人形、たんすなどの道具を2段に飾り付けている。
御殿の部分は細かい部品を組み立てて作るが、説明書はなく、覚えている花子さんでなければ組み立てられないという。
人形の衣装の色あせや髪の傷みも少ない。花子さんは「髪にくせが付かないように、1体ずつ紙で頭の部分を包んで保管してきた。1年も欠かさず飾れたのも、健康でこられたおかげ」と目を細めている。